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トーア紡コーポレーションのIR

投資家の皆さまへ

5つの事業を中心として、さらなる企業価値の向上を図ります

事業戦略

当社グループを取り巻く経営環境は、コロナ禍を契機としたデジタル化の加速、SDGsによる世界的な規模での環境や人権リスクへの意識の高まり、原燃料高などによるコスト増など、様々な要素が複雑に絡み合い、困難かつ柔軟なかじ取りが必要になってきています。そのような環境背景に対応すべく、既存の基幹5事業(インテリア産業資材・衣料・エレクトロニクス・ファインケミカル・不動産)については新領域への展開も視野に入れた効率的かつ持続可能な仕組みの再構築を行い、一方で次世代を見据えた新事業の創出を目指した中期経営計画を策定しました。

「中期経営計画開示添付資料」

中期経営計画2年目となる令和5年12月期は、ウクライナ情勢やさらなるインフレ懸念等により、不透明な経営環境が続くものと予想されますが、このような状況を注視しつつ、中期経営計画の達成に向けて、様々な施策を実行していきます。
中心となる5つの事業分野において取り組む施策は、以下のとおりです。

インテリア / 産業資材事業

インテリア産業資材事業は以下の3つの戦略を推し進めていきます。

1. 生産の効率化
国内、中国子会社とも新規商材の立ち上げ、および効率化を図るため既存設備の改修、改造および工程の見える化による生産の効率化を進めていきます。

2. 品質へのプライド・ものづくりへのこだわり
すべての分野で新規商材の受注獲得のための新規開発を進めていきます。
ポリプロファイバーでは、高機能綿の開発・販売、カーペット不織布では、高付加価値機能商材の開発・販売を目指します。

3. 環境に配慮したものづくり
導入済みの環境に配慮した排水処理設備の適切な運用と更新を実施するとともに、工場で使用するエネルギーの低炭素排出へのシフトを実現し、環境負荷低減を推し進めます。
また、リサイクル事業では、産官学共同研究による「リサイクル炭素繊維の連続繊維化および製布化」に取り組んでおり、リサイクルカーボンファイバーの高付加価値製品化を目指します。

衣料事業

地政学リスクの高まりや原材料、エネルギーコストの上昇等激変する経済環境の中、中期経営計画2年目となる今年は、その最重要課題である盤石な事業体制の構築へ向けて以下の施策を進めていきます。

1. 持続可能なバリューチェーンの構築
メーカーとして、自社グループをはじめ、協力会社を含めた持続可能で強固なバリューチェーンを構築し、環境負荷低減と経済合理性の両立を実現していきます。

2. DXの推進
FAの計画的導入も含めた工程、業務フローの見直し等、生産効率の向上、業務変革を徹底的に推し進めます。

3. 海外拠点の活用
既存の中国、東南アジアの拠点について、部門の枠を超えた視点で、製造拠点としてのみならず、商品開発、それに伴った市場創造の側面から有効活用し総合力を高めます。

4. 毛糸部門の販売強化
国内の梳毛紡績会社の集約が進む中、国内外に生産工場・拠点を持つという背景、強みを活かして販売網の構築に取り組みます。

エレクトロニクス事業

昨年度前半は、一昨年から続く半導体不足による大幅な受注増により増収・増益となりましたが、後半に入りロシアによるウクライナ侵攻や高インフレによる景気後退の影響が見られ、受注が減少いたしました。今年度も国際秩序の不安定化が続くことが予想され、厳しい経営環境の見通しです。
主要分野において以下の重要施策を推進していきます。

1. ACコントローラー分野
DXを活用し、生産管理、品質管理を向上させます。生産ラインについては自動はんだ付け装置導入など省力化を推進し、下期の受注回復時には速やかに量産対応できるように生産効率向上を目指します。

2. 電子デバイス分野
半導体デバイスにおいては、引き続き産業機器向け製品は供給不足の状況にありますが、いくつかのカテゴリーでは供給不足が解消されています。そのため、逼迫部品と在庫過多部品の調整を行いながら、サプライヤーと協力関係を維持して安定確保を図ります。
その上で、今まで参入できていない事務機、フェムテック分野への積極的な営業を進めます。

3. 成長期待分野
ロボットに使用される減速機は、生産数量を拡大して国内外の販売を強化していきます。
電子棚札や個人向けビールサーバーは、昨年度は生産部材の確保ができず販売遅延となりましたが、今年は部材確保の見通しが立っているため、販売増を目指します。

4. 新規案件開拓
大阪工場主体で国内外注先と提携して国産品の開発・製造をスタートさせ、海外情勢の変化に対応できるような生産基盤づくりを目指します。

ファインケミカル事業

ウクライナ情勢やインフレが止まらない欧米の経済情勢下、不確実性がさらに高まる混沌とした事業環境ではありますが、将来の成長軌道を確かなものとするために、今年度も中期経営計画に沿った以下の重要戦略を推進していきます。

1. 世界的な調整局面に入った電子材料分野ですが、中長期的には市場拡大が見込まれると捉え、一昨年来より進めてきた能力増強投資の成果を売上利益拡大につながるように取り組みを強化します。
また、需要の旺盛な半導体プロセス材料向け生産能力増強ならびに品質力の向上にも努め需要家の要望にしっかり応える体制に注力します。

2. ヘルスケア分野はオーソライズド・ジェネリック品との厳しい競争が予想されますが、地道なコスト低減策を講じて競争力の向上に努めます。また、中国製から国内品に切り替わる多様な受託ニーズを的確に捉え、新規受託材料獲得に向け積極的な営業活動を展開します。

3. DXのさらなる推進で業務効率化・生産性向上をより確かなものとし収益力を高めます。省エネ・サーキュラーエコノミー推進やプロセス改善に継続的に取り組むことで地球環境保全という人類共通の課題解決に貢献し、持続可能かつ社会に必要とされるファインケミカル事業の発展を追求します。

不動産事業

資産の有効活用と安定収益確保のため、以下の4つの重点施策を進めていきます。

1. 事務所賃貸については、オフィス環境の満足度を高めるため、今後も設備のリニューアルを継続していきます。
2. 商業施設については、稼働率と収益性を高めるため、計画的に修繕を行い付加価値の維持向上を図ります。
3. 老朽化した施設については、新規テナント誘致のため、建て替えなど新たなスキームを検討していきます。
4. 保有森林の維持管理などSDGsを意識した資産の活用を促進し、環境負荷低減への貢献を図ります。

当社は、令和5年2月1日、ムサシノ製薬株式会社の全株式を取得し子会社化いたしました。当社グループにおいて今後の事業の柱と位置付けるヘルスケア事業部にとって、商品開発および販売チャネルの獲得という側面から事業拡大への相乗効果を見込んでおります。
今後も当社グループは、創業者の訓示である「顧客満足」「重点主義」「公平性」を脈々と受け継ぎ、人々そして暮らしの「アメニティ=快適・ここちよさ」を追求する「暮らしと社会の明日を紡ぐ」企業グループであり続けるという理念のもと、以上のような取り組みを通じて持続的な成長と企業価値の向上に尽力していきます。また、法令順守や危機管理を一層徹底するため、「トーア紡企業行動憲章」のさらなる定着と実践を推進し、より実効性のある内部統制の整備、運用を進めていきます。




利益配分について

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして認識しております。各年度において成長投資、財務状況とキャッシュフローなどのバランスを総合的に勘案した上で、株主の皆様に適正な利益還元を行うことを基本方針としております。
令和4年度(第21期)配当金につきましては、1株につき11円とさせていただきました。
厳しい経済情勢は続きますが、本年度も配当を継続できるよう努めてまいります。

投資家の皆様には、今後ともなお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長
長井 渡